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Bruco - American Garage Equipments » Product Tags » GARAGE https://www.bruco.co The Time Proven Garage Equipments Mon, 22 Jun 2015 06:50:32 +0000 en-US hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.2.37 Bell Dust Waterproof Receptacle Cover 2 Gang https://www.bruco.co/?product=buco-dust-cover https://www.bruco.co/?product=buco-dust-cover#comments Sat, 21 Jun 2014 16:58:38 +0000 http://www.bruco.co/?post_type=product&p=156

Frontier Meets Pacific

 

”西部の開拓前線が西海岸まで到達し、もはやフロンティアとよべる地域を国内に見出すことはできない”。1890年のUSセンサスは合衆国の歴史がひとつの大きな節目を迎えたことを告げた。しかしフロンティアは消え去ってしまったことで逆にアメリカ人の起源というフィクションの舞台として神話化された。荒野を駆け抜けたカーボーイやアウトローたちは現実の世界での行き場所を失った替わりに、アメリカ人気質を表象するシンボルに祭り上げられていった。このとき、現実の世界で、消失したフロンティアに替わって出現したのは国内市場の重要な担い手としての中西部、西部だった。中西部に出現した酪農地域、東部海岸地域に発達していた工業地帯、そして南部では黒人が奴隷解放の名のもとにプランテーションを追われ、困窮の中さまよっていた。

 

Chicago Bound

 

アメリカの中北部、ミシガン湖の南西岸に位置するシカゴは、東部と西部、南部と北部、生産地と消費地を繋ぐ集積地・中継地としての地勢的利点をそなえていた。鉄道網、運河航路が放射状に発達し、胎動する国民経済をつなぐ血脈のごとく19世紀後半から20世紀前半にかけて各地の経済・産業を連結してゆく。やがて流通・交通のハブとしてだけでなく、食品加工・鉱工業・製造業、金融など、商工業の中心地に発展しいく。さらに、大都市となったシカゴはモノ・カネだけでなくヒトも呼びよた。東欧南欧からの移民、デルタをあとにして北上する黒人達、大都市に巣食い暗躍するマフィア、そして彼らが開花させた大衆音楽・芸術・文化。NYに次ぐ巨大都市となったシカゴは20世紀前半のアメリカのダイナミズムそのもののような存在だった。

 

Bell 1946

 

そんな1946年のシカゴで小さな電気部品の会社が創業する。その会社は創業者フランクベレックの名をとってベルと名付けられた。ベレックは生産設備に電力・電機を利用した設備・デバイスが急速に普及しているにもかかわらず、防水防塵の不備から漏電や腐食による故障や感電事故が多いことに目をつけ、No Shockというブランド名でアメリカで初めての防水・防塵電気部品の製造と販売を始めた。当時シカゴには電気機械の製造業も集中していたが防水パーツに特化したメーカは他になく、No Shockは大ヒットとなった。Bellブランドは防水製品のトップブランドとして広く知られることになり、その結果アメリカでは防水の電源ボックス一般をBELL BOXと呼ぶようになった( ホチキスやポストイットと並ぶ一般名詞として定着した)。

 

Touch of Chicago Mid-Century Industrial

 

工業製品のデザイン変更が頻繁に行われる日本の常識からすると考えられないことだが、1940年代に発売されたNo Shok以来、BELLの電源ボックスは基本設計を変えることなく今日まで、現在でも製造・販売されている。大げさで古臭いリブ形状と、戦前の劇場看板のようなBELLのロゴ、そしてこの無骨なマシングレーの塗装。シカゴが最も輝いていた時代、そしてアメリカが世界の工場だったころの古き良きインダストリアルデザインがこんなちょっとした電気パーツにまで封じ込められ、しかも現在まで脈々と生き残ってきたことに感動せずにはいられない。一部のコレクター向けの復刻販売ではないし、レトロっぽくデザインしたわざとらしい新製品でもない。そのまま生産されつづけ、意図せずして選ばれ続け、使われ続けてきたという事実がいちばんクールで、かつ簡単にはマネできないところでもある。フロンティアだとかカウボーイなんかよりも、そういうところにこそ無意識のうちに共有・伝承されている国民に共通の感性・価値観すなわち文化のようなものが現れるものだから。

 

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BRUTE HEAVY DUTY TOTE BOX 20 Gallon Glay https://www.bruco.co/?product=ethnographical-clay-teapot https://www.bruco.co/?product=ethnographical-clay-teapot#comments Fri, 31 Jan 2014 14:24:38 +0000 http://planetshine.net/test/callisto/product/ethnographical-clay-teapot/ ”重機で踏みつぶしても、ほら元通り!” のデモでお馴染み?のブルートのコンテナ(ポリバケツ)。Bruteはアメリカの樹脂製品の老舗にしてトップブランドのラバーメイドのヘビーデューティラインのブランド名で、冒頭のプロモーションなどから抜群の歪み強度が有名だが、紫外線や耐候性、引きずり摩耗などについても他社製品と比較して優位性が証明されている。同社はもともとゴム風船の会社から出発した経緯もあって、樹脂素材に弾力性と強度・耐久性などを両立させるための独自のノウハウやパテントを有している。実際、触ってみるとその質感は他社製品とは明らかに異なっている。Bruteのイメージカラーともいえる独特の緑がかったグレーは、コマーシャルグレードの証しであり、現代アメリカの商業シーンに欠かすことのできない定番ブランドになっている。

一見すると家庭用の装飾的なデザインとは無縁の無骨なデザインだが、そこがまたシンプルで機能的な製品を選好するアメリカ人の好むテイストであり、リアルなアメリカ臭さにつながっている。ブルーがイメージカラーの同社リサイクルコンテナ(こちらもおすすめ)と並んで、現代アメリカの国民ブランドの定番商品は、ベタな表現だけれど、おいてあるだけで景色をアメリカに変えてしまう力を持っている。

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CHICAGO LIGHTHOUSE SKILCRAFT WALL CLOCK FOR US FEDERAL GOVERNMENT (USA) https://www.bruco.co/?product=chicago-lighthouse-wall-clock-gov-use-only-copy https://www.bruco.co/?product=chicago-lighthouse-wall-clock-gov-use-only-copy#comments Mon, 24 Nov 2014 18:03:08 +0000 http://www.bruco.co/?product=chicago-lighthouse-wall-clock-gov-use-only-copy 2005年あたりからだったろうか。アメリカを中心に”チャイナフリー”という言葉が使われはじめた。中国製食料品の生産・加工工程のモラルの低さや、その結果としての健康上のリスクがセンセーショナルに報道された結果、中国製の原料や素材を使用していないことがひとつのブランド価値・商品価値を持つようになった。裏をかえせば、中国製プロダクトが既にそれほどまでにアメリカのマーケットに浸透してしまっていたことを示唆していた。自由主義経済の旗手アメリカの市場にあふれるMade In China。冷戦下で鋭く対峙してきた共産主義国の製品は気が付けばあらゆる分野で米国内市場を席巻していた。しかし、当の中国も今や共産主義は一党独裁のお神輿でしかなく、その経済体制はどっぷりとアメリカ資本に組み入れられている。冷戦後の平和によってもたらされた自由経済の繁栄・浸透が、政治やイデオロギーの相剋をあっさりと飛び越えてしまったとみればそれは平和裏に進行した革命的な出来事だった。一度門戸を開放してしまえば、いかに独裁的な権力とて、自由経済のダイナミズムと浸透力に抗うことは難しいのだった。しかし、これは何も中国にだけいえることではなかった。

911以降のナショナリズムの高まりの中で星条旗が掲揚されるシーンやデモなどで”はためく”姿を見る機会が増えた。星条旗は新たな敵(テロ)との戦い(報復)のための団結と愛国心のシンボルとして称揚され、実際この旗の下でその後多くの兵士が忠誠を誓い戦地に赴いた。しかし、実は年間4億円以上の”星条旗”が中国で製造され、アメリカに”輸入”されていることが報道などで取沙汰され、アメリカ国民はずっこけた。団結と愛国のシンボルとしての神聖な国旗の生産を海外に依存するとは何事か。ただちに禁止だ。しかし、ことはそう簡単ではなかった。4億円とは完成品の輸入高であって、糸、生地、染料、顔料などの素材の輸入まで考慮すると、その依存度はさらに高くなることが分かってきた。そもそも原材料のフットプリントをたどることは言うほど容易ではない。高まるナショナリズムの中で、純国産の星条旗使用を義務づける議員立法が幾度となく議会に提出されているが、財政負担などを理由としてその都度否決されている。(2014年に入り、軍用の星条旗については純国産とする法律が成立した。)

アメリカが推し進めたグローバリズム資本主義が世界の隅々にまで浸透した結果、星条旗は中国製となった。アメリカ自身でさえ、このダイナミズムに抗うことはできない。”グローバリズムはこれから世界の隅々まで浸透し、世界は均質化に向かっていくと予想されます。そしてそうなった暁には我々のような文化人類学者は職を失うことになるでしょう - レビストロース(1977京都講演)今や秘境の集落からイスラム圏まで、世界中の人々がマクドナルドで食事して、ナイキのスニーカを履いて、アイフォンでググって生活している。抗しがたい魅力的な商品とその便利さで”豊かな暮らし”がもたらされたのと引き換えに、民族固有の伝統や文化とその多様性は駆逐されようとしている。かつて共産主義経済は計画的な生産と徹底した国際分業による効率的な資源分配の実現を標榜した。地球上から事実上共産主義をめざす国家が消えてひさしく、皮肉なことにこの命題は、資本主義の究極のかたちとしてのグローバリズムの浸透力と破壊力によって実現されようとしている。

シカゴライトライトハウスはアメリカの視覚障碍者の社会的自立のための支援を行う社会福祉団体として1906年に設立された。非営利組織として視覚障碍者に具体的な職能を身に着けるための職業訓練を施してきたが、1970年代には、組織自らも視覚障害者を雇用し壁掛け時計の生産事業を開始した。連邦政府やペンタゴンからの政策的な優先発注をうけて事業は順調にスタートしたが、財政改革による官公庁の購買方針変更や中国製時計のシェア急増により2000年前後には大いに苦戦を強いられていた。2003年にそのことがウォールストリートジャーナルの一面に報じられると、 シカゴライトハウスの掛け時計は”公共機関においてまで中国製に淘汰されつつあるMade in USA”の政治的なシンボルとして取沙汰された。その後、オバマの会社訪問など政治家の支援態度表明が相次いだが、グローバリズムとナショナリズムの攻防は続いている。

紹介の商品はChicago Lighthouseの中でもSkilcraftと呼ばれる公共機関専用の製品ラインで、供給先の性格上、組み立ては無論、ムーブメントまでQuartex社の米国内製造品を使用し、頑なにMade in USAを貫いてきた。曲面を帯びた文字盤カバー、赤い秒針、どこまでも読みやすさに徹したゴシックフォントはアメリカの公共施設に掲げられてきた掛け時計の様式美を継承し、こざかしい”デザイン”の入り込む余地のないほどに愚直にスタンダードに徹している。それでいてにじみ出るこのアメリカらしさこそ、本物のなせる技ということなのかもしれない。しかしかつてそこら中でみかけた”平凡な”掛け時計は、今のアメリカにあっては絶滅危惧種となってしまった。アメリカが世界に放ったグローバリズムの申し子Made in Chinaは今、皮肉にもMade in USAを駆逐しようとしている。

 

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DURHAM CABINET & DRAWER (SMALL) https://www.bruco.co/?product=japanese-metal-teapot https://www.bruco.co/?product=japanese-metal-teapot#comments Fri, 31 Jan 2014 05:21:07 +0000 http://planetshine.net/test/callisto/product/japanese-metal-teapot/ 自動車用のツールキャビネットというと、赤がお約束で、他に色があったとしてもイエローやオレンジなどインパクトのある色が多く、”普通の色”を探そうとすると極端に選択肢が限られてきます。”普通の色”。そう、グレーです。その昔は工場や事務所の什器・スチール家具の定番カラーといえば、グレーでした。什器どころか、建物だってグレーときまっていました。子供に工場の絵をかきなさいと言えば、判で押したようにギザギザの屋根に煙突をたててグレーに塗るものと決まっていました。わかりやすい時代でした。で、ふとこの昭和でマシーンなグレーのオーソドクスな什器を探してみると例によってもう無いわけです。自動車工具界は先の通りスナップオンのカラーリングがグリップオンだし、産業用の重量キャビネットやラックはなぜか若草色に染まっていたのでした。誰も気が付かないうちにこのとても和風な色に集束しているところに日本人の感性や色彩感覚が現れていて、これはこれで渋くもあります。でもそれだったら私としては日立のベビコンの鶯(うぐゐす)色を推薦します!(意味不明) ええ、とにかく、無くしてしまうこともないのに、MACHINEでDOVEなグレー。。。いや、無くしたのではないんでしょうね。売れなくなったんでしょうね。。

一方、巨大なガラパゴス、アメリカにはやはりまだありました、オールドスクールな”マシングレー”のツールキャビネや重量ラックを普通にあたりまえに作り続けているブランドが。SNAP-ONに代表されるインパクトイメージが先行しがちですが、アメリカにはグローバルでインターナショナルなアメリカと鎖国でガラパゴスなアメリカが並存しているんです。で米国内の特定分野だけに特化したドメスティックなメーカーは世界的な動向や競争に翻弄されることなく保守的なデザインを固持してきていることが実は多いんです。その結果として古風なスタイルが生き延びていることがあります。米国内に特化してきた産業機器のメーカなどは特にその傾向が強く、そういうの見つけるととてもうれしくなるわけです。

1901年創業のLYON、1922年創業のDURHAL、EQUIPTO(1907)、VIDMAR(1958)、ADRIAN STEEL(1953) といったインダストリアルスペックのスチール什器の老舗メーカは今でもマシングレーのシンプルなスタイルのキャビネットやロッカーを製造・供給しています。特にDurhamのキャビネットやRotabinは色といいデザインといい無駄のないベーシックで伝統的なスタイルを守り続けています。これ以上ないというシンプルでオーソドックスなデザインの故か、日本製品のように頻繁にデザインや規格が変更されることがありません。ましてや余計なモールやメッキや指し色みたいな装飾的デザインとは無縁です。その分、モジュール(規格寸法)の統一や互換性・拡張性は高く、自分好みのシステムやレイアウトのキャビネットを構築することも可能です。(掲載の商品以外の組み合わせ・輸入なども可能ですのでご相談ください)

本商品も単なる引出式のキャビネットではなく、一段一段の引出部に独立した工具箱を差し込むスタイルなので、必要なものを引き出して、単独の工具箱として使うことが可能です。工具箱の方も小部品を整理して収納できるコンパートメントタイプのものと間仕切りの無いエンプティタイプを自由に組み替えて使うことが可能です。

高級感、ブランド、目新しさ、デザイン、インパクトといったわかりやすい訴求力で劣る分、拡張性、耐久性、信頼性という点では有利な場合も多く、普通で当たり前のモノがほしい、と思ったときにこういうチョイスがなかなか国内では見つからないところが、今の日本の残念なところと思います。おしゃれで個性的でこれでもかという便利機能満載でしかも低価格みたいな製品はたくさんあるんですけどね。

ふつうの人はそっち買いますもんね。(すねてる訳ではありません)

こんな古風なモノ作り続けてたらいきのこれません、この国では。(決してスネてるわけではありません)

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■ PRODUCT SPECIFICATION & FEATURES:

SMALL SLIDE RACKS FOR USE WITH 4 SMALL COMPARTMENT BOXES
Durable gray powder coat finish
Model Dim WxDxH Compartments Ship Wt Carton Pack
307-95 15-1/4 x 11-3/4 x 11-1/4 4 21 lbs. Set Qty 1
Model Dim WxDxH Compartments Ship Wt Carton Pack
226-95 13-3/8 x 9-1/4 x 2 Small Empty Metal Shell 18 lbs. Set Qty 4

• Sturdy construction using prime cold-rolled steel
• Accommodates 4 Small Compartment Boxes
• Easy glide slides allow boxes to move in and out smoothly
• Center braces on cradles provide extra rigidity
• Reinforced rack keeps boxes level
• Boxes can be easily removed for transport to work areas
• Base and locking hinge are available as accessories
• Durable gray powder coat finish
• Sturdy construction using prime cold-rolled steel
• Accommodates 6 Small Compartment Boxes
• Easy glide slides allow boxes to move in and out smoothly
• Center braces on cradles provide extra rigidity
• Reinforced rack keeps boxes level
• Boxes can be easily removed for transport to work areas
• Base and locking hinge are available as accessories
• Durable gray powder coat finish
SMALL SLIDE RACKS FOR USE WITH SMALL COMPARTMENT BOXES
Model Dim WxDxH Compartments Ship Wt Carton Pack
307-95 15-1/4 x 11-3/4 x 11-1/4 4 21 lbs. 1

Prime cold rolled steel
• Full piano hinge on cover provides rigidity
• Positive pull-down catch keeps cover closed
• Handle allows easy transport
• Can be used with plastic inserts for small compartment boxes on Page 47
• Racks are also available as accessories
• Durable gray powder coat finish
Model Dim WxDxH Compartments Ship Wt Carton Pack
226-95 13-3/8 x 9-1/4 x 2 Small Empty Metal Shell 18 lbs. 6

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HP Financial Calcurator 12C Original Made In USA https://www.bruco.co/?product=hp-financial-calcurator-12c-original-made-in-usa https://www.bruco.co/?product=hp-financial-calcurator-12c-original-made-in-usa#comments Sun, 20 Jul 2014 17:54:36 +0000 http://www.bruco.co/?post_type=product&p=174 ■ OVER 3 DECADES LONG SELLER

 

常に目まぐるしい技術革新にさらされているコンピュータやデジタル機器の世界では製品のライフサイクルも短く、たとえば10年以上モデルチェンジをせずに販売されている製品を探すのはとても難しい。モデルチェンジどころか製品シリーズとしても、10年以上続く成功例はごく一握り。続いた製品(シリーズ)があっても、その中身は時代の変化にあわせて全く別物に変身を遂げていることが多い。新陳代謝の激しいこの業界では変化を拒むことは死を意味する。しかも、それが10年間となれば、製品どころか企業自体の存続さえもあやしい。そんな業界にあって、10年どころか30年以上にわたり一切デザインの変更をうけずに販売され続けてきている製品がある。

 

■ THE BANKER’S EDGE

 

米国コンピュータ大手、ヒューレットパッカード社(HP)は1981年に金融・財務業務向けに特化した電卓HP12Cを発売した。その電卓はワイシャツの胸ポケットに入れて持ち運べるサイズであることを第一命題として開発され、なおかつ金融や財務の業務で多用される複利計算や減価償却計算の機能を備え、頻繁に使う演算や係数などを登録しておく一種のプログラム的な機能まで備えていた。当時はまだビジネスシーンにおけるコンピュータといえば大型の汎用機(メインフレーム)を指していた時代で、ノートPCはもちろん、デスクトップ型のPCも普及していなかった。(このころ、IBMがやっとPERSONAL COMPUTERと銘打った製品5150の販売に乗り出しているが、当初はビジネス向けの製品とはみなされていなかったし、当然のことながら携帯したり持ち運べるしろものではなかった。)そんな時代に登場したHP12Cは、ビジネスの現場、とりわけ複雑な財務分析と投資・経営判断を迫られる投資家、経営者、金融・財務関係者の間に瞬く間に普及、以来30年以上にわたり今日まで財務プロフェッショナルの必携ツールとして業界内では知らない者はない存在となっている。

 

■ REVERSE POLISH NOTATION

 

HP12Cは一般の電卓とは異なる逆ポーランド(RPN)という入力方式を採用した。一般の電卓が演算子の入力後に、その演算対象の数値を入力するのに対し、RPNでは数値の入力後に演算子を入力する。最初はとっつきにくいこの入力方法だが、一度ものにするとあまりの使い勝手の良さに、もう元の電卓には戻れなくなる。RPNはコンピュータのプログラミングや演算実行アルゴリズムにも適しているとされ、コツをつかめば何重にもカッコで括られたような計算式も一回の入力で最終計算結果を得ることができた。こうした独創性に魅了されたファンは多く、今でも多くのウェブサイトでHP電卓の魅力や使いこなすためのTIPSが公開され、12Cに特化したFACEBOOK GROUPまで立ち上がっている。

 

■ INDUSTRY STANDARD

 

プロフェッショナルユースを想定し、電卓でありながら米国国立標準局(現NIST)の精度基準認証を取得しており、その計算結果は法的にも正確かつ正式な計算値として認められている。CPA、CFAなどの米国の財務資格試験への持ち込みが公認されている唯一のRPN方式電卓でもある。結果として発売以来30年以上にわたり不動の金融・財務電卓のデファクトスタンダードの座を守り続けることになったが、実は開発段階で当初想定されたライフサイクルは2年程度であった。実際その後HPからは、より高機能な金融電卓が多数発売された。しかし12Cがデファクトの座をゆずり渡すことはなかった。なぜか?限られたキーボード数とコンパクトなサイズでありながら、使いなれれば仕事に必要充分な機能を簡単に呼び出して数値をはじき出す。つまり、余計なものがついていなくて、一度慣れると、とてつもなくパワフル。そして見逃しがしがちだがハードウェアとしてのパッケージングもとてもユニークかつ魅力的にできていた。

 

■ JOYS OF OWNERSHIP

 

通常の電卓とは異なる横置きのデザイン、アルミ製のボディに、(結果的にクラッシックとなった?)変わらないデザイン。特に多くのユーザーリビューなどでも絶賛されているのが、そのとびぬけた頑丈さとキーボードのタッチフィール。私自身、入社間もない頃に先輩から5年おちの12Cを譲りうけて以来20年以上使用している。その間、かなり無造作に扱って、何度も机から落としたりしているが、今も健気に数字をはじいてくれる。そしてキーボードは、通常の電卓にありがちなあのカチャカチャという安っぽい感覚とは無縁で、擬音でたとえるならコリコリとした感覚で入力完了を確実に感触で伝えてくれる。RPNといった機能面での独創性に加え、こうした佇まいや質感が12Cを唯一無二の魅力的なハードウェアたらしめている。

 

■ BUDDY OF YOUR BUSINESS LIFE

 

アメリカだけでなく、日本でもこの12Cとともにビジネスマンとしての経験をつんでいった人物は多く、MonexのCEO松井大はブログで12Cの使い勝手と頑丈さを絶賛し、丸紅社長(当時)朝田照男はTV番組戦士の逸品でこの12Cを挙げている。この製品に言及したウェブサイトやスレッドは国内外ともに枚挙にいとまがなく、UPされたコメントを読めば世界中のベテランビジネスマンやエクゼクティブ達が、この12Cと苦楽を共にしながらビジネスのイロハを学んでいったことをうかがうことができる。

 

■ VETERAN’S ICON

 

今日では ノートPC、スマホ、エクセルなどなど、パワフルで便利なツールがあふれている。以前とはくらべものにならないような凝った分析やレポートが簡単に作成できるようになった。しかし、ツールが強力でスマートになればなるほど、真の意味でのスキルやセンスはスポイルされてしまっているのではないかという直感もまた禁じえない。だからこそ、そのちっぽけな古ぼけた電卓は今日でもベテラン・プロフェッショナルのアイコンとして独特の迫力とオーラを放っている。

 

■ SPIRIT OF THE GARAGE

 

12Cを開発したヒューレットパッカード社は創業者のBill HewlettとDavd Packrdにより1938年に創業。当時は電子機器の製造業といえばシカゴが中心地だったが、地元サンフランシスコ郊外パルアルトに借りた自宅裏のガレージで創業を開始した。スタンフォードで学んだ先進技術を活かして開発した電子計測器がディズニーに採用されたのを契機にビジネスは拡大。その後は企業向けコンピュータの分野でも急成長を遂げ、2012年現在、売上規模では世界最大のコンピュータメーカとなっている。HPは先進技術を核にビジネスを起業するいわゆるベンチャー企業のはしりとされ、その成功に続き、アップル、マイクロソフト、グーグルなどベイエリアにはたくさんのIT関連企業が勃興した。やがて、同地域はシリコンバレイと呼ばれ米国のIT産業の中心地となった。同社が創業したガレージは修復再現され、シリコンバレイ発祥の地としてカリフォルニア州の史跡に指定されている。BillとDaveが示した従業員への信頼に基づく経営哲学、マネジメントスタイルはHP Wayと呼ばれ後の企業家、経営者に多大な影響を与えている。

 

■ MORE THAN A DEVICE

 

12Cの設計思想とその独自性には西海岸に花開いたオープンでフランクな起業家スピリットとその歴史が凝縮されている。その歴史に想いを馳せてこのデバイスを携えるとき、それは単なる電卓という機能を超えた一種のお守りであり、戒めであり、またあるときにはビジネスシーンでの苦楽を共に乗り越え、人間的な成長を見守ってくれる寡黙な相棒となってくれる。それは使う者に修練を要求する替わりに、やがてツールを使いこなすことと仕事のスキルが不可分一体のものになっていくことの喜びを教えてくれる。現代は、誰にでも簡単に使える便利なデバイスにあふれている。けれでも、そのほぼ全ては数年とたたずに新しいモデルにとって替わり姿を消していく時代でもある。我々は今、相棒と呼べるような道具に出会うことがとても難しい時代にいる。

 

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 ■ ORIGINAL MADE IN USA MODEL

 

12Cは1981年の発売当初は全てアメリカでのみ生産されていましたが、その後マレーシア、シンガポール、中国、マカオ、ブラジルなど複数の国で生産されるようになりました。現在新品で購入できるものは中国で製造されているものになるようです。識別は裏側の樹脂ボディ部分にある製造国の刻印もしくはシリアルにあるアルファベットで区別することができます。それ以外は使用感覚、質感ともに違いはありません。ただ、Brucoでは最初期のUSA生産モデルにこだわってUSEDの MADE IN USA 良品を探してみました。USAモデルの良品は希少になり、価格も高騰しているので、MADE IN USAにこだわってお探しの方はお早目に。他に未使用のSINGAPORE製も在庫あります(お値段は同じです)。

 

■ USER COMMUNITY , TIPS AND RESOURCES

 

紹介にも書きましたが、ユーザコミュニティと言っていいくらいのネットワークがあり、使いこなすための情報やマニュアルはネットで多数入手可能です。英語はもとより、国内で日本HPが正規販売していた際の日本語マニュアルもダウンロード可能です。

■ HP 12C DORKS ON FACEBOOK

■ VINTAGE HP CALCULATOR MUSEUM

■ 日本語クイックスタートガイド(ダウンロード

■ 英語版 HP12C User Guide (ダウンロード)

■ 日本語出版物:HP12cによるときめきひらめき金融数学

他にも内外の多数の個人サイト・ブログで12Cの活用方法やRPNについて解説しているサイトがあります。

 

 

 

 

 

 

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IBM USA WALL CLOCK 1960S https://www.bruco.co/?product=glass-teapot https://www.bruco.co/?product=glass-teapot#comments Fri, 31 Jan 2014 14:23:02 +0000 http://planetshine.net/test/callisto/product/glass-teapot/ ■ International Business machine

IBMという会社の名前を聞いたことがないというビジネスマンはおそらくいない。そしてこの会社がコンピュータ大手の企業であるということも同じくらいよく知られた事実である。しかし、このIBMという会社の正式名称を知っている人となると以外と少ないのではないだろうか。そしてさらに、コンピュータというものが世の中に登場する以前、IBMが何を作っていたか、知っている人はもっと少ないのではないかと思う。

IBMは正式名称をInternational Business Machine Corp.といい、その源流は1911年に創業したCRT(computing Tabulating Recording Company)にさかのぼることができる。CRTとはパンチカードによる大型の計算機のことで、コンピュータ前史における事務処理機器のボスキャラであった。初代社長ThomasJWatsonSr(シニア)は官公庁のCRT需要に目をつけて会社を急成長させた。しかし、それまでのIBMは他にもタイムレコーダ、工場・学校などの時計システム、はては食料品の計量器具やスライスマシンまで手掛ける”よろず”産業機器メーカであった。当時のロココなロゴマークが物語る通り、今日我々が思い浮かべるIBMのイメージとは少々趣きを異にする会社であった。

1950年代、先代から会社を引き継いだ実子、ThomasJWatsonJr(ジュニア)は先代の経営フィロソフィを継承しながらも未だ黎明期にあり将来性の定まっていなかったコンピュータ事業への資源集中と汎用コンピュータ開発のための巨額投資という大きな賭けに出た。後にFortuneに”50億ドルの賭け”と報じられたこの社運を賭けたトランスフォーメーションは1964年のSystem/360に結実する。ジュニアが”IBMの歴史上で最も重要な製品”と評した通り、System/360と後継メインフレームの成功は企業向け事務処理・研究開発はもとより、軍需・宇宙開発などの国策プロジェクトまで幅広く採用され、エンタープライズ・コンピューティングのみならず、その後のハイテクセクターにおけるIBMの圧倒的な存在感を決定づけた。良くも悪くもエスタブリッシュで権威主義的・官僚的な今日我々が知るIBM像はこうして誕生した。

しかしジュニアの慧眼は事業シフトだけにとどまらず、より抽象的な意味での”デザイン”がいかに企業イメージを左右するかをも見抜いていた。1950年代、CorporateIdentityという言葉さえ存在しなかった時代に、MOMAのキュレータも務めた建築デザイナElliotPaulを筆頭に、グラフィックデザイナPaulRand、工業デザイナーCharles and Ray Eamesらが招集され、Corp Design Projectはすすめられた。それは単なるつけたしや目新しさをねらった表面的で装飾的なフェイスリフトとは対極にある根本的な企業アイデンティティの見直し、再構築の試みだった。より大局的な視点でとらえれば、ジュニアが断行した事業シフトや研究開発投資でさえ、IBMの存在価値をラディカルに解釈し直し、企業そのものをデザインし直すという作業の一環にすぎなかった。

もうひとつ、ジュニアは社長就任とほぼ同時にロゴマークを変更している。PaulRandのデザインによる新ロゴは一見すると単なるフォントタイプの変更という些細なものだった。このため新ロゴはContinuityLogoと呼ばれ、ジュニアが先代の経営方針を継承する意思を表明したものと解釈されている。しかし、この新ロゴこそ、International Business Machineとの決別、IBMー”アイビーエム”というアイデンティティへのシフトを象徴していた。無論それまでも、IBMのロゴは存在した。しかしそれは正式社名のイニシャルをとった省略形としての存在にすぎなかった。新ロゴとその後の社名呼称ではこの正副が明確な意図をもって逆転された。ジュニアは新ロゴによってインター~よりもはるかにシンプルで斬新なIBMというIdentityを提示したのだった。表面的にはコスメティックに過ぎないような変更にこそラディカルな変革への意思が示唆されている。”変革は大局的に見た場合には継続性の中でもたらされる”。ジュニアの言葉は通常の解釈とは逆にこの意味で解釈されなければならない。

”会社のイメージを刷新するために、なんていって玄関ロビーに大きくて難解な抽象画をかざって済まそうとするタイプのデザイナーとは少しちがうんです、私の場合は。”-ElliotNoyes

”ロゴデザインで一番大切なことは他と区別できてすぐその会社と判ること、そのためにはシンプルであることが最も有効な手段となるんです。”-PaulRand

”制約事項というのはデザインを阻害する要因ではありません。優れたデザインとはむしろ、できる限り多くの制約事項を見つけだし適切に把握して、いかにしたらそれらの要件を満足しうるかを追及する作業によって導びき出されるものなのです。”-Charles Eames

”何か特定の目的があって、それを一番効果的に達成できる方法を考えること、それがデザインなのです。”-Charles Eames

優れたアートワークは多くの場合、足し算でも掛け算でもなく、徹底した引き算によってもたらされる。チームの野心的な試みとそのコンセプトはこのシンプルで力ずよく、それでいてモダンな傑作ロゴデザインの中に見事に凝縮して表現されることになった。

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